世界の説明書
目
朝もやの中で名子はいつものように黒い髪を振りながら校門の中に入っていった。それを見送った正人は、これまたいつも通りの道を通って会社に向かった。学校横の公園は夏だというのに相変わらず陰険な風を集めていた。そして、またいつも通りに茶髪の女子高生が頭を禿げ散らかした中年男性と公衆トイレに消えていった。 そして、それを目撃するのが何度目かの警官が、ものものしい顔で、二人の後を追った。警官が公衆トイレに入った時にはすでに、中年男性は女子高生の中に入っていた。あまりにも昼間からどうどうと行われる情事に警官は、心臓が飛び出るほど興奮しながら見守っていた。三つある女子トイレの右端で行われているその運動を、彼は真ん中のトイレの便器に乗りかかりながら薄目を開け、自らの股間に手をやりながら、もだえていた。彼が果てた時に、中年男性も同じように果て、財布から一万円札を数枚抜き取り、けろっとしている女子高生の手に無言で握らせ、何もいわずトイレを出て行った。女子高生が金を数え、使用されたばかりのコンドームをトイレに流すと、手も洗わずにトイレから飛び出していった。黒い鉄の万華鏡がその全てを上から見下ろしていた。黒いパーカーがそれを回収した。
朝もやの中で名子はいつものように黒い髪を振りながら校門の中に入っていった。それを見送った正人は、これまたいつも通りの道を通って会社に向かった。学校横の公園は夏だというのに相変わらず陰険な風を集めていた。そして、またいつも通りに茶髪の女子高生が頭を禿げ散らかした中年男性と公衆トイレに消えていった。 そして、それを目撃するのが何度目かの警官が、ものものしい顔で、二人の後を追った。警官が公衆トイレに入った時にはすでに、中年男性は女子高生の中に入っていた。あまりにも昼間からどうどうと行われる情事に警官は、心臓が飛び出るほど興奮しながら見守っていた。三つある女子トイレの右端で行われているその運動を、彼は真ん中のトイレの便器に乗りかかりながら薄目を開け、自らの股間に手をやりながら、もだえていた。彼が果てた時に、中年男性も同じように果て、財布から一万円札を数枚抜き取り、けろっとしている女子高生の手に無言で握らせ、何もいわずトイレを出て行った。女子高生が金を数え、使用されたばかりのコンドームをトイレに流すと、手も洗わずにトイレから飛び出していった。黒い鉄の万華鏡がその全てを上から見下ろしていた。黒いパーカーがそれを回収した。