世界の説明書
 「すいません、ちょっとよろしいでしょうか。」二郎が派出所の外から長谷川に声をかけた。

「あ、はい、なんでしょうか。」長谷川は疑うように二郎の視線を探りながら答えた。

「あのう、昨日、僕の財布を落としてしまったんですが、ここに、届いていないでしょうか。」

「昨日ですか、ちょっと待ってくださいね。昨日の届け物を確認してみますね。」長谷川は机のうえに置かれた台帳を開いた。

「黒い財布で、中に現金が3万円と、クレジットカードが一枚入っているんですが。」

「んん、、そうですね、申し訳ありませんが、昨日の届け物の中にお財布は、一つもありませんね。」


「そうですか、、ああ、やっぱり誰かに盗られちゃったのかな:あ、どうも、どうもすいませんでした。」

「いえいえ、こちらこそ、お力になれませんですいません。もし、良かった連絡先だけでも残していただければ、見つかった時にこちらから連絡しますよ。」

「いえいえ、大丈夫です。自分でもう一度探してみます。」
「あ、でも、もしかしたら、こちらに届くかも知れませんので、一応、お願いします。」

「あ、ああ、はい、分りました。」二郎はいわれるままに、台帳に落し物の詳細と嘘の携帯電話番号を書いた。

「では、何かありましたら、ご連絡を差し上げます。」

「はい、どうも、すいませんでした。」
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