世界の説明書
 二郎は浮き足立っていた。あの時のあの警官の顔といったら無かった。確かにいい大人がまさか、自分が人のSEXを覗きながら手淫に興じている姿をビデオに納められているなんて思ってもいなかったのだろう。眼鏡越しの視線は沈み、悔しさで、震えだしていた。所詮、大人なんて、仕事という大義名分の上に自分を正当化し、本来の自分の身分を見失う。権力や、地位はそのシステムの中だけで有効であって、一歩外に出ればその他大勢と何も変わらなくなる。奴もそうさ。偉そうに制服を着て、我が物顔で人を見下し、自分は何でも許されると勘違いし、あんなに恥ずかしい姿を撮影された。これで奴ももう一生、自分に逆らえない、と二郎はいよいよ自分の計画が本編に突入した事の祝杯を一人、自宅のコンピュター画面の警官の死体を眺めながらあげた。がたん。 ん、まただ、最近誰もいないのに二郎の部屋の片隅から何かに、何かがぶつかる音が聞こえるのだった。しかし、彼ががいくら目を凝らしても、ピザの残飯とコーラの空き缶しかなかった。LUCKY JUICEの効き目が回ってきたのか、彼は部屋の中で一人叫びだした。
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