世界の説明書
部屋の片隅で静かな怒りの炎がピザの残飯に焦げ目を作った。二郎はゆっくりと王者の貫禄を楽しむかのように、ゴミだらけの自分のベッドの上に寝そべった。後は、どこで実行するかだ。さすがに実家では色々と面倒がおこる。誰も来ない場所、音が外に漏れない場所。まあいい、今は思いつかないが、時間はあいつの一生分ある。頭のすぐ後ろで一匹の4センチ程もあるゴキブリが、威嚇するように二郎に向けて触角を伸ばした。そして、その1秒後、それは羽、足を体からもがれ、同じような昆虫のパーツで埋め尽くされているビンの一部となった。これまでも、彼はたくさんの昆虫、小動物の破片を集めていたが、全ては盲目の少女の為だった。彼女がお腹が空いたときに、彼女の三時のスナックを用意していた。様々な実験を彼は彼女にしようとしていた。それはすでに二郎の中では、科学だった。ある科学者が世界の夜明けを告げる電球、フィラメントを開発したように、またある天才が世間に隠れながら人体を解剖したように、二郎は、この世の全ての汚物と、もっとも美しいもの、この世の強者と、もっともか弱い者が出会う瞬間の奇跡を科学したがっていた。科学するとは、実体験を伴った実験であり、空想を現実にする行為である。この腰抜け共が必死に生き残る為に培ってきた、偽りの道徳の囲いの中のセカイに一つの真実を、彼は自らの手で発生させたかった。自分の不幸も、自分の無能さも、全て赤の他人のせいにしてい生きる愚者達。非難するばかりで、実際に行動を起こさない言い訳屋達に向けて一つの真実を見せたかった。この世の全ては真の支配者に淘汰されるべきだ。権力、金、地位なんてものの力を借りなければ何も出来ない負け犬達よ。死んだ先祖が必死に守ってきたものを未だに守り続けないと生きていけない、先祖の七光り坊ちゃん達に一体セカイの何を変える事が出来るだろう。