世界の説明書
 「パパ、無理するな。また自分は不幸だって、考えたでしょ。それ、絶対に禁止だからね。パパが、それすると私も、ママも、自分達の責任でパパがそうなってしまったって思うって言ったでしょ。パパがそうなると、私と、ママが悲しいの。責任感じて、どんどん心が重くなるの。だから、パパが元気にしてくれていれば、名子はそれだけで元気になるからね。名子の為に、もうそんな事、考えないでね。」

 そうだ、自分はまた過去と同じ事をしようとしていた。名子の為に、あの事は考えない。明子の為に、答えを世界に求めない。そう誓ったはずだったのに、またしても自分の弱さを呪い、不幸を噛み締めようとしていた自分に、正人は心底やりきれない気持ちになった。これからは、名子の笑顔の為に生きていくと決めたのに、決めたのに、やはり自分はまだ弱いままで、明子が安心して眠っていられないな、すまんと心の中で明子に謝った。

あなたはは大丈夫。私が守ってみせる。

誰かが正人にそういったように聞こえた。それは明子の声かも知れなかったし、名子の声かもしれなかった。
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