世界の説明書

　「坊や、よくお聞きなさい、あの子の命は、どうにか助かったみたい。　でもバイクを運転をしていた男の子の一人は死んでしまったそうだけど、。」

「え、　死んだ、、、え、どうして、ねえ、どうして死んでしまったの。一人、、死んで、、、しまったの。　あああああああ、　僕のせいだ。僕のせいで一人死んでしまった。どうしよう、どうしよう、ママ、僕、どうしたらいいの。」

「落ち着いて、坊や。ね。いい、これはしょうがない事なの、この世界にはどうしても避けられない事があるの。誰も悪くないのに何かが壊れてしまう事があるの。どんなに頑張っても、どんなに一生懸命やっても、それでも駄目な事ってあるの。バイクや車は便利だけど恐ろしい物よ。例え、その力を自分でコントロールできても、偶然という目に見えない運命や風の動きを読める人なんていない。そして、急にその偶然はいきなり、私達に襲いかかってくるの。偶然は誰の物でもないの。誰も分からないの。だから、皆偶然を全ての言い訳にして生きているの。あなたが自分のせいだって思う事は決して悪い事ではないし、むしろ正しい事よ。でも今あなたがそう思っても、その死んだ男の子は帰ってこない。あなたのパパだってそうでしょう。私達はこの世界の中では存在しない事になってるの。運命から外れてしまっているの。どんなに私達がここに在る事を叫んでも、誰も私達には気が付かない。彼らは気付こうともしない。だから、あの子が死んでしまったのは、あの子や、そのぶつかった女の子があなたを見ていなかったからなのよ。」

「うん、うん、、、、、でも、僕は、その人が僕のせいでそうなってしまった事を無視できないよ。きっとその男の子の親はすごく悲しんでいるはず、それは僕がしてしまった事。目に見えない偶然のせいかもしれないけど。でも僕は耐えられない、それに、それに、パパ、パパは、、うわああああん。」