甘い記憶

もしかして…?

なんと,桜の兄
春樹と同じ名前だったのだ。名字までは桜も分からないが。

「…春樹…?」

「うん!あんたも教えて!」

桜は迷った。
もし,あの男子生徒が桜の兄で桜が妹だと知ったら,再会の喜びを感じあい,色々会話もはずむかもしれない。

だが,桜が妹だと知って最初は
喜んだとしても,小学生の時よりも大人になった桜を見て,妹ではなく

女性として見るようになって,気まずくなるかもしれない。
そう考えると,言いたくなくなる。

「…どうした?」

『どうしよう…?言わないほうが良いかな…??』

「…もしかして、迷惑…とか?」

「ちっ違います!わたくし”藤岡桜”は迷惑だなんて…」

「桜ちゃんってゆうんだ〜」

「…へ?」

【迷惑?】だと聞かれて混乱した桜は,無意識に名前を言ってしまった。

「春らしい名前だね!」

『あ…れ?普通の態度だ…』

少し不思議と思った桜。

「あの…春樹先輩の妹の名前は…なんてゆうんですか??」

思い切って聞いてみた桜。
だが……

「それが…覚えてないんだよね〜。」

「え!?」

思いがけない言葉にびっくりした桜。

「俺が小さい時に居なくなったから,覚えてないんだ〜…【さ】までは,かすかに覚えてる!」

「…そうなんですか…」

少し呆れた桜。

「さてとっ…もう暗いし帰るか!」

「あ,…はい」

『春くん…なのかな…??』


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