いばら姫



「 Hi 」

繋ぎあっている手はそのまま
笑顔で返事を返してくれた


携帯にあった
去年、ロケットの時に撮った
アズの写真を見せながら
身振り手振りで説明する


「 …えっ、と…She、is
I'm missing――
This Street

Lost Childじゃ…迷子か 」


「 Did it quarrel? 」


―― 判らない

どうしようか困っていると
彼氏の方が、

「 Did it 'Fighting' with
Your "HONEY?" 」

そう言いながら、身振り手振り
声帯摸写付きで、
彼女とケンカしている真似をした

彼女が両手を仕方なさそうにあげながら
「He is so short'tempereds...」
と、ため息を付く



―― 違う

緩く笑いながら、首を横に振って
何て言ったらいいのか、
上手く言葉が出ない、自分が悔しい


まだ声帯摸写を続けている
彼氏のミゾオチに、彼女が肘を一発決め
再び携帯を覗き込むと

「 Sorry... It has not seen. 」

俺の目を見ながら、首を振った


「 ―― Thank you. 」




お礼を言って、
階段を駆け降りる

次に声を掛けたのは露店の親父

親父は肉を挟みながら
最初はかなり、仏頂面をしていたけど
人探しをしていると判ると
途端に表情を親身に変えた



次に声をかけたのは
ブロードウェイの劇場

…受け付けのオバチャンは俺の問いに、
黙ってマンハッタン地図のパンフレットを
ガラスの下から渡して来たが

すぐに" 彼女の名前は? "と言い
呼び出し用らしきマイクを指差した


―― 思わぬ親切

だけど、アズの本名ではヤバイと思い

「 ユキ ナカムラ 」

そう伝えた


…これならば、アズだけに伝わる ――



それから
暫く待っていたけど
―― 何も変化は無くて

頭を下げて、次へと走った









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