いばら姫
―― さっきから何回も携帯が
ポケットの中で、震えていた
着信に灰谷の名前
多分まだ
水谷タカオは見つかっていない
もし見付けていたら
連絡なんかせずに
まずその場所に、突っ込んでいる筈
実際俺は
冒険に馴れた、Level高めのパーティーに
知り合いだからと入れて貰って
ずっと護衛されながら
調子よく後をついて来た、" 寄生虫 "
…これがただの意地なのは判ってる
―― だけど俺は、
寄生虫なんかで居たくない
――― アズだってそうだ
他人がどう思おうが、
どんな奴に見えていようが
俺は俺の知ってるあいつを
信じるしかない
ゲームだって、リアルだって変わらない
俺を思い出して
アンコールに起き上がってくれた
"逃げない"アズを
―― それが俺の見た、アズの全てだから
「 …小松原…
――― いえ 坂井 さん 」
「… はい 」
「 …… タカオさんが
ここで良く行く店とか…
少しでも、判かりませんか…? 」
「 …― 判らないのよ…
…子供が居る事隠して…
此処まで来ちゃったし
あの子が大きくなってからは
一緒に旅行した事も無い… 」
「 じゃあ、小さい時は
どの辺に住んでたんですか? 」
「 …決まってないわ
シェアルームを捜して、
転々としてたから
同じ様なシングルマザーとか
…うちの子泣かなかったし
ベビーシッターのバイトしてる子とかと
一緒に住んだり… 」
「 ―― なら
何か、想い出のある場所とか
良く遊んだ場所とか… 」
坂井さんは 首を振る
「 …二歳位までは
自分で抱っこして、
公園に行ったりしてたけど
ここはベビーシッターに子供預けて
働きに出る事は普通だし
… 途中からは
その映画の為に留守ばかりで…
―――――― あ 」
「 え …何か、ありますか?! 」