いばら姫



「 ちょっと待ってて下さい
タクシー連れて来ます 」


舗道を大股で歩きながら
携帯のボタンを押す
真木の番号が書かれた紙を
財布から出した


濃くなった白い息が
画面を曇らせて、一度、手の甲で擦る

鳴るか鳴らないかで、
すぐに通話が繋がった



「 もしもし 」


『 …… テ…メエ
もしもしじゃねえ!!
野郎の心配なんて、
こっちはもうゴメンなんだよ!!
何処に居る?! 』



「  頼みがある 」


『 ――… 気味悪いな 何だよ!! 』


「 小松原さんが、こっちに来てる 」


『 … 小松原って
小松原、メイ子さんか? 』


「 少し具合悪くして
――もし梅川さんが居るなら、
見てあげて欲しいんだ 」



『 おお 連れて来いや

…小松原さんには青山のベース探しの時
かなり世話になったしな

灰谷もジョンさんも、絞り込みするって
一回戻って来てるぞ

チャイナタウンの方じゃなくて
公園の前の方な 』



「 ―― ありがとう 」


『 …なあ オマエ マジで帰 』



…ろくな機能が無い分
かなり持つんだけど
画像出して聞き回ってたから
とうとう充電が切れてしまった


大通り、とりあえず手を挙げ
屋根にランプの付いたタクシーが
すぐに停まる


ドアを開いて、言葉を掛けた
覗いたのは、黒い目と鳶色の肌


「 Excuse me, She is sick... 」


「 How?! 」


少し驚いた顔をして
ドライバーは目を丸くした

…何か間違っているかもしれないが
とにかく伝える


「 えーと…足っぽいよな
Leg ..Footとどっちが良いんだ?

―― ああ!怪我はinjuredだ!
と、とにかく

This way OK? 」


「 No, This one Way. 」


「 … 一通か! OK えっと

She is Slow of Foot,
Wait a moment Please. 」


「 Oh, OK 」





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