いばら姫



―― アズは

青い月を目指す夜の植物の様に
白い指で壁を辿り
上空を見ながら、立ち上がる



「―― 行くなって…!!!」



俺は強く、後ろからアズを抱きしめた




「…道が変わってるの

捜して…行かなくちゃ


――― リュウジの夢が
今あのバンドにあるのならそれでいい

… 一言、伝えないと
リュウジの止まってる時間が進まない」



「…何言いに行くんだ…!!」




「――― "赦す" 」



「……アズ……」


「― 私がリュウジを守りたかった

だけどリュウジの中で
それが呪縛になってしまっているのなら


伝えなきゃいけない

…… 彼が彼の空を飛べる様に」








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