いばら姫
「動くなって!!
少し休めってば!!」
「…リュウジは何も悪く無い
たまたま私に関わって
――私が好きになって
勝手に死にかけただけ
本当は
"赦す"なんて言葉おこがましいんだ
でも」
「……解ったから!!!
――道が変わってるなら
俺も東京の道なんて判らないけど…
一緒に捜してやるから!
5分でいいから座れ!!」
―― 俺は力付くで
アズを灰色の床に座らせた
しばらく咳込み、深い息を
意識的に正しく繰り返している
背中を摩ろうと思った
だけど、手を伸ばした途端
アズは激しく、首を横に振る
「…頑固女 」
「………淳だってネットと
…ちがう」
「…だからそれは…」
――― 何度も言う台詞じゃない
その言葉をアズに言う時
俺は必死に振り絞って言ってるんだ…
…アズはこうしている間にも
俺から逃げる隙を窺ってる
それが解るから絶対に、
腰に回し、
ベルトの穴に捩込んだ指を離さなかった
「…おまえ いつもこんなに体温高いのか」
「 わからない 」
―― 丸い月がビルとビルの間に挟まる
俺はそれを見て、ふと思う
「…… "エクレシア"ってからには
高い所にあるのか そこ 」
「…………」
「 …言えよ 」
「…もう夜遅いから、危ないし
淳は、帰った方がいい
―― 泊まってるホテルまで送るよ」
「アホ!!…どっちの台詞だよ!!」
「…淳は
絡まれ易い感じだから
それか、Jemuの前まで戻って
タクシー呼んだ方が」
「…だから!!
俺はそんなに頼り無いか?!
――― もっと頼れよ!!
俺は男で、おまえは女なんだから!」