三度目の指づめ
次に意識をはっきりさせたのは…それから2日後の事だった。
まだひしひしと痛む、額…
そっと指を沿わせると…生々しく、4針縫った後が残っていた。
包帯越しに何度も指を這わした。
そして、ぁの悪夢を思い出す。閻魔の様なぎょうそうで睨みつけていた兄…
やはり…昔と何も変わらなかった。
ゆっくりと体を起き上がらせる。
痛むのは額だけのはずなのに、体全体に激痛が走った。
うめき声と共にヘナヘナ立ち上がろうとしたが…バランスを崩しよろめいた。
世界が揺れる。
『気を付けねぇとな。』
不意に、誰かがあたしを支えた。
丁度、胸辺りに沈み込む体勢になった。
耳を霞める低い声…
ざらつき、ネチネチした口調…
全身をおかんが走った。