三度目の指づめ
“ガチャガチャ”
しかし、あたしが全体力を投じて回したドアノブは救出の出口を作ってはくれなかった。
それ所か、鉄の鍵が閉ざすロック音として虚しく響く。
『あはは!!鍵がかかってりゃあどうする事も出来ねぇなあ。はぃ。お前の負けぇえ!!!』
背中越しに聞こえる耳を裂く様な笑い声。
あたしは刹那的に地獄に叩き落とされた。
“嗚呼…最初から兄の手中で踊らされてたんだ”
空笑いだけが脳内に連鎖する。
もぅ逃げ道はなぃのだと、確信したその時、あたしの体からスルスルと風呂の湯でも抜ける様に力が消えた。
抵抗力さぇ消滅したんだ。
そんなあたしの瞳に映る絶望を再度確認し、鼻で笑った兄は仁王立ちのままで静かにズボンのチャックを下ろした。
『ゲームスタート』