大人になれないファーストラバー
そのうちに乗り換えの駅に着き、起きない阿宮の肩を咲之助が揺らすと、ようやく目を覚ました阿宮。
「…はひこへ」
起きてまず一番最初に言ったのがそれ。
たぶん"なにこれ"って言ったんだろうけど、"はひこへ"にしか聞こえなくて。
咲之助はわざとらしく「え?」って聞き返してた。
それから。
「蕾がやったんだよ」
なんて、とんでもないことを言い出した。
「マヒヘ?」
今のはおそらく"マジで?"。
「違うよっ 違う違うっ」
全力で否定するあたしを、目を大きく開いたままで見つめてくる阿宮。
「ひどいやつなんだよ」
って咲之助。
ひどいのはどっちだよって、罪を着せられそうになってることに泣きそうになる。
「名取、意外とイタズラ好きだねー」
阿宮は本気で咲之助のことを信じたのか、口に詰められたお菓子をもぐもぐ食べながらそんな風に言った。
「違うっ」
どうしてこんな状況になってるんだか。
いつもは守ってくれる咲之助なのに、今日はなんでかいじめてくるし。