大人になれないファーストラバー
「サク嫌いっ」
そう言い捨てると、あたしは二人に背を向けて電車を降りた。
「からかっただけだってっ」
すぐに後を追っかけてくる咲之助。
その両手には片方に自分の、もう片方にはあたしの荷物である大きなカバンを持っていた。
阿宮はと言えば口の回りについたお菓子のカスを拭きながらのんびりと電車から出てきた。
「あたしじゃないもんっ」
咲之助を振り返ってそう叫ぶ。
「悪かったってっ お前には冗談通じないんだったなっ」
謝ってると言う感じが伝わってこないような咲之助の口ぶりに、またむっとした。
「可愛い子をからかいたくなっちゃう年頃なんだよ」
って、咲之助を弁護するみたいに、爽やかに笑いながら阿宮は言った。
「かわいい!? 誰が!?」
咲之助は阿宮を見つめて、本気で理解出来ないみたいに聞き返す。
「名取可愛いじゃん」
さらりと言う阿宮に対し、咲之助は"お前も物好きだなー"と言う。
それを聞いて、謝る気なんてさらさらなかったんだと思い、あたしは咲之助を睨み付けた。
そして低い声で。
「…許さない」
と、まるで呪いをかけるかの如く恨めしげに言った。