大人になれないファーストラバー
乗り換えの電車はそんなに待たずに到着したので。
なぜか駅弁で盛り上がっている男二人を置いて、あたしは先に乗り込んだ。
この電車も全然混んでいなくて。さっきと同じ二つの席が向かい合っている場所に座った。
窓に近寄って、ホームでバカみたいにはしゃいでる二人の様子を見つめる。
制服姿じゃない咲之助。
あたしが見たことのない顔で笑ってる。
なんだかとてもいきいきしてて、キラキラしてて。羨ましく思えた。
同時に寂しさが渦巻いたけど、そんな感情は今は必要ないんだって、頭を振って無理矢理かき消した。
「…寂しくない。」
そして誰にも聞こえないぐらいの声で否定の言葉を口にした。