大人になれないファーストラバー
「つーか、さっきのおばちゃん気前よかったよね」
「なっ 結局150円もまけてくれたしっ」
「弁当1個おまけしとくねとか、5個もいらねーっつってんのに」
ガサガサと音をさせながら、何かを食べているようだ。
たぶんさっき駅弁を買ったのだろう。
「これ食ったら俺また寝るけど」
「あそ」
「今度は菓子詰めんなよ」
「分かんないけど分かった」
「なんだよ それー」
「詰めねーよっ」
と、笑ってる声が聞こえていた。
しばらくするとまた静寂が訪れて。
ガタンゴトンと、電車の走る音だけが途切れることなく続いた。
薄目を開いて、様子を伺うと、阿宮は腕を組んで目を瞑っていた。
咲之助は…
と、密かに視線を巡らせると。
「すー」って。
なんだか規則正しい寝息が聞こえてきた。
これは完全に寝てると思い、あたしはゆっくり目を開いた。
さっきまで騒がしかったと思えばすっかり大人しくなって。
男って極端な生き物だなと、勝手に思った。