大人になれないファーストラバー


それから、眠っている二人の様子を観察しながらお弁当をつついて。


あたしも眠ろうと何回か目を閉じてみるけど、電車の音が気になって眠れなかった。




暇で暇で、咲之助の指を引っ張ったりしてみるけど反応はなく。

やがて窓の外には田んぼが広がり始め、急な傾斜の屋根がある特徴的な家々が見えてくる。




民間の集まりを通り越すと、山の中のような道に入った。

青々とした木々の中から蝉の声が聞こえてきそうで、思わずカーテンと一緒に窓を開ける。




そんな時ふとアナウンスが流れた。




『次は石地駅 石地駅』





目的地のすぐそばまで来たような気がして、自然と鼓動が高まっていく。





「蕾」




後ろから呼ばれて振り返ると咲之助も阿宮も目を冷ましていた。




「次のとこで降りるから」




やっぱりここが目的地のようで。
寝起きのぼんやりした声で言う咲之助。


あたしのほうはもう降りる気でいたから、心の準備は整っている。

どちらかと言えばその言葉は寝ぼけ気味の阿宮に言ったほうがいいと思われた。

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