最愛の人

八つ当たりした自分がすごくいや。
秦さんは何にも悪くないのに。

すぐに謝れない自分がいや。
自分が悪いってわかってるのに。



あたしには1人で生きていくのは無理なのかもしれない。
たった3ヶ月でもう弱音を吐いた。

これから先はもっと長いのにあたしはどうしたらいいんだろ…?





気がついたら、窓の外が明るくなっていた。

一晩中泣いてたせいかな?
体がだるくてすごく重く感じる。


それでも学校には行かなくちゃいけない。
嫌々ながら学校に行き、バイトにも行った。



学校からバイトに向かう途中から頭がぼーっとして、咳が止まらなくなってた。
本格的に風邪引いたかも……



「あっ、すみません。」


今日はこの言葉を何回使ったかわからない。
ミスの連発で…いつもは間違えない処理を間違えてばかり…


「秋山さん大丈夫?疲れてるんじゃない?今日は帰っていいから。」


「だ、大丈夫です。ちゃんと時間まで仕事します。」


全然大丈夫じゃない。
だって体がフラフラして足にうまく力が入らない。それでも、家には帰りたくなかった。



帰ると必ず秦さんがいるから“帰りたくない”と思ってたのに気付かないうちに気持ちが変わってた。


あたしを待っててくれることが嬉しくて
「おかえり」って言ってくれる事が嬉くて

だから“帰りたい”って思い始めてたんだと思う…



でも今は“帰りたくない”。
もう秦さんはいないから…
誰もあたしを待っててくれないから…
「おかえり」って言ってくれる人がいないから…



なんとか仕事を終えるともう体力の限界だった。
帰りたくないなんていってる場合じゃない…咳が止まらなくて苦しいの。

早く薬を飲まないとって考えながら速攻で着替えを終えて、バイト先から出ると急に息がうまく出来なくなってあたしはその場に倒れこんだー…



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