危険な誘惑にくちづけを
 それは……もしかして。

 由香里さんにそっくりな……水島が、いるから?

 かすかな不安を抱えたわたしに。

 紫音は、笑って肩をすくめた。

「春陽も、あまり友達を多く作らず、少ない人数を大切にしていくタイプだろ?
 自分の部屋に連れてくるほど仲がいいなら。
 今までだって、大分世話になってるんだろうし。
 これからも、よろしく頼みたいからな。
 ……それに」

 言って、自分の持ってきたバッグを指差した。

「春陽の冷蔵庫に、何もなかったから。
 ちょっと、そこらの商店街で食材を探してたら。
 皆、ずいぶんと気前よくおまけをしてくれて。
 ……二人で食べるには、量が大分多くなってしまったからだ」

「元ホストのワザを使って、商店街のオバちゃんたちをタラシ込み、やりまくって来たんですか~~?」

 もう、また!

 紫音と対決する気満々らしく。

 変な茶々を入れる佐倉君に、紫音は、目を細めた。

「……昔の話を春陽に聞いたのか?
 盛りのついた犬じゃあるまいし。
 あんた、実はあまり女にモテないだろう?
 そればかり考えてたら、女は逃げるぜ?
 エロガキ」

「……!」



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