危険な誘惑にくちづけを
 引きちぎられた、ブラウスと。

 フロント・ホックのブラは、わたしの肌を隠してなんか、なかった。

 素裸よりも、淫らに見える胸の谷間にくちづけて、佐倉君が笑う。

「春陽ちゃんって……
 すごく。
 エッチなカラダをしてたんだね……?」

「……!」

 泣きそうなほど、恥ずかしくて。

 ほとんど、反射的に胸を隠そうとした、腕をつかまれた。

「ちょっと触っただけで、すぐに滴るほど、濡れちゃって。
 そんなに、オイラの指が気持ち良かった……?」

「ちが……っ!
 放して……!」

 悲鳴みたいな、わたしのお願いに、佐倉君は、にやり、と笑う。

「ヤダね。
 こぉ~~んな、美味しそうなカラダを、放っておくヤツは、男じゃねぇよ」

 その、今まで見たことのない表情に、息が止まりそうになった。

 いつも、本気かウソかも判らない、お莫迦な冗談を言って笑ってる佐倉君は、居なかった。

 ふとした瞬間に。

 ぎらり、と強く睨む。

 学校の男子が、誰も寄り付かない佐倉君が。

 熱く、荒い吐息を自制するように、切れ切れについていた。
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