危険な誘惑にくちづけを
 何か、助けになるモノは、ないかな、と。

 目だけで、辺りを見渡せば。

 ここは。

 防音とセキュリティーだけは良くきいた自分の部屋だ。

 部屋の中に入られちゃった、今となっては。

 服を裂かれるほど、絶対絶命の今。

 無事に助かるには、すぐに手を打たないと、いけないこの状況では、どこからか、助けが来るなんて、思えなかった。

 自分の力でなんとかしなくちゃ、いけないのに。

 なぜか。

 さっきから、ずっと頭痛が続き。

 絶対絶命だって言うのに、アタマがぼんやり、眠りそうになる。

「……っあ、やめて……!」

 黙ってしまったわたしの返事を急くように。

 佐倉君が、わたしの胸をナメ上げて。

 胎内に差し込んだままの指をぐいと、動かした。

 とたんに。

 さめかけていた、カラダの熱が、煽られる。

「……さあ、春陽ちゃん……
 早く、返事を……」

 佐倉君にとっては。

 形だけでも合意の上で、なのか。

 それとも、無理やりなのか、だけで。

 わたしを、抱いてしまう気で、満々だった。

 
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