不器用なLOVER
透弥さんは片手で顔を隠す様に、軽くうつ向いていた。

「えっ〜…それも嘘だったの!」

脱力感に見回れへたり込みそうになった私の腰に素早く手を回して支えてくれた透弥さんは。

「ごめん…」

悪戯のバレた小さな子供の様で。

「さて…マジ後始末してくるから後は宜しく透弥」

朋弥さんの背中を二人で見送り。

「少し二人で話そうか?」

透弥さんに誘われるまま外へと
歩き出した。

二人きりの中庭に並んでベンチに腰掛けていると。

遠くから途切れ途切れにワルツが聞こえていた。

「…怒ってないよ?
透弥さんが私を思ってしてくれたことだから」

終始無言のままの透弥さんの手に自分のそれを重ね合わせ
微笑み掛ける。

その手を透弥さんが包み込んだ。

「晶…僕のこれから話すことを、真剣に聞いて欲しい…」

その目の力強さに吸い込まれた。

視線を外すことは勿論、
瞬きさえ忘れて見つめ返す。

「僕は…宮原透弥は…。
宮原グループの嗣子…跡取りで…これから先もそれは変わらない。宮原は世界的企業だから…
莫大な影響力を持っているから。その頭首の言動は重要なんだよ。今はまだ高校生という肩書き上、僕もある程度許容範囲があるけどいずれは今以上に制限が付き身動き取ることが難しくなるから…」
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