人魚姫~A Mermaid Princess of victory~
“おい、桜木。帰るぞ”
声をかけると、彼女は驚いた顔をしたが、かまわず引寄せた。
“チッ、男いんなかよ”
そろまで騒いでた奴らは逃げて行った。
“ありがとう。じゃあまた”
“ちょっと待てよ。自分の恰好分かってんの?”
“…、分かってるよ?だから早く帰りたいんじゃん…”
そう言って泣き出した彼女は、`人形姫´ではなくて、`桜木詩音´、もとい、俺の探した人魚姫だった。
考えてみれば、どれほど怖い思いをしたのだろうか?
大勢に囲まれて、こんな小さな体では、ほとんど目立たない。
“おい、とりあえずこれ着てろ”
“…ありがとう”