キミのとなり。


──修ちゃんが学校に来た翌日は大変だった。


学校に着いて教室に入ろうとした瞬間。


「長谷川さん!」

「千鶴!」

「ちーちゃん!」


色んな人に一斉に名前を呼ばれ、最後に呼ばれた美咲に、体を廊下方向に押し戻された。


「なっ、何!?」


廊下の壁に背中を押しつけられそうな勢いで肩を押され、あっという間に廊下に逆戻り。


「すっごい噂になってる! N高の男の子のこと!」

「あ……」



修ちゃんのこと、すっかり忘れてた……。


N高の生徒がうちの学校の前にいたことは、ものすごいスピードで広まった。


しょうがないけど、そんなにN高生ってめずら……しいよね。


“N高の超カッコイイ人が学校に来た”

“髪の長い1年生と一緒に帰った”

“いや、ショーットカットの3年生だ”


……とか、嘘も混じってまぁ色々。


私と一緒にいるところを見たと、全然知らない人からも質問攻めにあったりしたし……。


これだけ騒がれてたらきっと、トモの耳にも届いてるはず。


トモが朝食の席に顔を出さなくなったのは、レストランで遭遇した翌日から。


こんなにトモと話をしてないのは、中学校以来だ。


「で? あの人誰?」


廊下まで体を押し戻されてから、そのまま屋上手前の踊り場まで連れて行かれ、階段に座らされた。
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