ラビリンスの回廊
王の部屋を目指す。
奥へ向かうほど、すれ違う使用人はさすがに少なくなっていた。
これより先へ行き来できるのは、王や王妃のお側付き、そして近衛兵、謁見の間へ取り繋がれる来賓などだ。
王の居住区と一般区を繋ぐ回廊が伸び、途中に扉がある。
そこから先が王の許可した者でないと入れないしるしに、扉の前には常時見張りが立っているのだ。
見張りは二人。
どちらも鎧を身につけており、槍を持って立っていた。
ルノは構えずに、なんのてらいもなく見張りへと近付いていく。
見張りが気付き、さぐるように視線を寄越す。
それでも臆することなく、背筋をすっと伸ばしたルノは、見張りの前に立つまで足を止めなかった。
カシャ、と見張りの鎧から、金属のこすれあう音がする。
二人が手に持っている槍は、扉のところでちょうど交差していた。
王や王妃のおつきの者は決まっており、そのどちらに仕える者でもないと気付いたのだ。
「ここから先に何か用か」
右にいた見張りが、確認のためとばかりに尋ねた。