一瞬のきらめき。
さっきよりも強くなった雨の中本屋の入り口で立ち尽くしていた。







なんだか踏み込んではいけない。








踏み込んだら簡単には戻れない。







まだよく知らない世界の奥に翔がいる気がする。







ブレザーの肩に落ちる雨のしずくが弾いていた。








雨の音しか聴こえない。










「俺、実はずっと立花さんが気になってたんだ。」







激しい雨の音の中、受話器の奥、耳元で話す優しい声がした。







激しいはずの雨の音が耳に入ってこない。








「…本当はずっと声かけてみたかったんだ……、席も近いし…、だから今日は茂が話すキッカケをくれて…。」







確かに席は隣の列ですぐ横に座ってたりしたから話せないことはなかった。







うちのクラスは男子が圧倒的に少ないからなにかと女子と騒いでいた町田くんたちは目立っていた。






騒いでいたところを見ているのが楽しくて、気になる存在ではあった。







元々最近の私はメガネをかけている男性がすごく好きで、好きな芸能人もメガネをかけている割合がすごく多かったくらいだ。








私は今までの町田くんのことを思い出していた。







クラス委員でみんなをまとめるのがうまい。







優しい人柄で友達も多い。







勉強も出来て成績で分かれる授業もいつもいいほうのクラスでテストの点も良かった。









……私、気づいたら結構町田くんのこと見てたんだ。




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