一瞬のきらめき。

女の子。

初めてキスをしてから1ヶ月後。








私たちはその先が知りたかった。








もっと深いところで愛し合う。








大人の世界を覗きこんで想像していた。







その先にはなにかあるんだろうか。








陸のことは確かに好きだった。







でも私は興味のほうが大きかったのかもしれない。







台風が来ていた夏の日の夕方、大雨の中陸に誘われて家に行った。







迎えてくれた陸が優しくタオルで髪を拭いてくれた。







陸の部屋に上がり、濡れた服にタオルをあてる。







「そのままだと風邪ひくよ。俺の服貸してあげる。」







暗い部屋の中、私は着てきたシャツとスカートを脱いだ。







シャツの下に来ていたキャミソールも濡れていて濃い色に変わっていた。







陸が持っていた大きめのタオルを広げて私の体を包み込んでおでこにキスをした。








「いっぱい濡れちゃったね。寒くない?大丈夫?」







そう言って私を抱きしめた。







目をつぶると心臓の音がよく聞こえる。






部屋は陸の香水に包まれていた。







流れているのは流行りの女の子の歌手で穏やかな優しい歌声。







確かCMの曲だ。






「好きだよ。くるみちゃん。」







陸の唇が耳に触れてそう言った。







首に…肩に……少しずつ、優しくキスしていく。







触れられた場所が熱を持つ。







陸の暖かい手が触れると心地よい。







「……陸…。」











私は女の子から卒業して、大人の階段をのぼった。




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