AEVE ENDING
終わりはいつからか闇の彼方へと消え、見失った淡い灯火はもう二度と戻らない。
神よ、あなたは、はじめからこの結末を我々の路に書き込んでいたのか。
(残酷であることが、神の)
それでも構わなかった。
(僕から橘を奪うのは、神でも赦さない)
そう思いながら、けれど、じゃあ。
(橘本人に拒まれたら、?)
―――億劫になっている。
或いは、臆病に。
(今すぐあの醜い体を引き寄せて、泣かせてでも暴いてしまいたいのに)
慰める術を知らないから、だからこそ迂濶に手を出せなくなった弱者が、ここにいる。
こんな自分、認めたくもない。
けれど。
「それは、お前にとって橘が大切だからだろ」
真醍がシチューを啜りながらそう口にした。
的を射ている、とはやはり認めたくない。
「…黙って食べたら」
だから紅茶を口にする代わりに、そう制した。
当然、それが正確にサルに伝わるとは思っていない。
「んだよ、ちっべてぇな~。雲雀が怪我したっつっうから心配して帰ってきたんだべ?」
カチャンカチャン。
駄々を捏ねるように平皿の縁にスプーンを叩きつける。
正真正銘のサルだ。
全く以て行儀がなっていない。
「君に心配される謂われはないよ」
食堂内に響く真醍の立てる物音。
こちらに自然と注目が集まっている。
復帰して初めての食堂だ。
ただでさえ無遠慮な視線に苛立っているというのに。
けれど、あの真醍がこちらの機微に気付く筈もない。
今度は丼をつつきながら、話を続ける。
「鐘鬼もよ、かーなーり、気にしてたんだぜ」
―――鐘鬼。
以前、敵側に回っていたとは思えないほど親しみやすくなった大陸の神。
その実力は自分も認めているし、真醍とも互角にやりあえるほどの実力者だ。
(…難を言えば、橘に救われた男だということ)
『これの傷みを知らぬ男が、わかったふうな口をきく』
(そして僕より、橘を知る者――いや、今は同等かな)
彼女の過去は、既に暴かれている。