AEVE ENDING
「…ねぇ、ロビン。本当にアナセスと雲雀は結婚しちゃうの?」
米国親善大使「マリア」に宛がわれた部屋の一室、窓際。
白漆喰の窓枠に項垂れるようにへばりついているロビンに、ベッドで絵本を開いていたジニーが顔を向けた。
そんな二人に呆れた視線を寄越したのは、紅茶を手にした姉役、ニーロである。
「ジニー、今のロビンになに言ったって無駄よ。全く、男のくせにウジウジ気持ち悪いわね」
ロビンがウジウジし始めたのは昨日―――そう、昨日である。
アナセスと雲雀の婚約。
聞いた時はさすがに驚いたが、しかしアナセスと雲雀の能力を考えれば頷ける采配だと思った。
雲雀ほどの能力者―――、アナセスでなければ、均等が取れない。
「…仕方ないわよ。あのふたりは唯一無二、世界最高のアダムであり全世界の期待の星なのよ?先読みのし過ぎだとしても、彼らのこどもに更なる期待が掛かるのも当然だわ」
だからこその、政略結婚。
国交を交えた更なる未来への飛躍、担保、保証。
最強の神の御子がいれば、神が死した後の世界も安泰だ。
「…浅はかなものだけど、そんなものよ。人間なんてね」
荒廃した世界に、ふたりの男女の神が産まれ落ちた。
彼らはその膨大で至高な能力を糧に世界を救ってくださるのだと、人々は喜び勇み、けれど。
「その神が死んだ後は?」
神を失った世界はまたも朽ちてゆくのか。
微々たる進歩ではあるが、世界は着実に改善へと向かっているのに。
「…だから、自分達で神を造ろうってんだから嗤えるよな。当人達の意思なんか完全無視で。アナセスも雲雀も、他人から勝手に神と崇められ、国の身勝手な要求で犠牲になる」
今まで黙りこくっていたロビンがぼそり、皮肉を込めてそう吐き出した。
彼らが星を担うということは、つまり。
(子どもが欲しいんだ)
アナセスと、雲雀の。
神の称号を得るふたりの血を受け継ぐ子どもが。
「婚約」と口にしたところで、つまりは交わりの塊を望んでいる。