AEVE ENDING
「や、だ…!ひばり、ぃっ」
よごれてしまう。
すべて、よごれてしまう。
「…、っ」
だめ、だめ。
(たすけて)
雲雀、助けて。
「っ、ぃゃ、ぁぁあああっ」
もう、戻れなくなる。
誰か、誰か。
「たすけて、ひばり…」
私が唯一、手を伸ばす人。
私が唯一、救いたい人。
わたしが、わたしが、唯一。
「っ、」
ふ、と呼吸が蘇った。
腹部にあった痛みはいつの間にか消えて、ただ荒い呼吸と生々しい剥き出しの皮膚だけがそこに在る。
横たわり泣きじゃくる私と、膝立ちになって私を見ている、雲雀。
冷たかった筈のシーツが、燃えるように熱かった。
言葉が、出ない。
脚の付け根から込み上げてくる鈍痛に、思わず投げ出していた脚を引き寄せて、それでも頼りない体に苛立ちすら感じながら、襲いくる虚無を抑えることができない。
「…、」
臆病な涙を湛え、雲雀を見る。
俯いた顔は伸びた前髪に隠れて見えなかった。
―――今の今まで私を絶望の淵に貶めていた濡れた指は、だらりと重力に投げ出されている。
息が、また詰まる。
剥き出しの雲雀の半身がいつもより赤くて、だから、あぁだから、そんなことすら、嬉しくなるから。
―――だから、怖くなった。
なにも語らない雲雀に。
表情を見せない雲雀に。
(ひばり…?)
息苦しさに、孤独に、頭がおかしくなる。
荒い呼吸はそのまま、ただ、その名を呼ぶしかできない。
(…ひばり、)
痛む脚を無視して、答えようとしない雲雀を呼ぶ。
こわい。
なにも反応しない雲雀は、本当に生きているのかすら疑わしくなるほど、綺麗だから。
(―――ひば、)
震える腕に精一杯の力を込めてシーツについたて、それを支えに上体を起こす。
身体と同化していたようなシーツが剥がれ墜ちて、糸を引いたような気がした。
(…ひば、り)
音もなく雲雀に近付く。
ちゃんと息をしているのか、生きているのか、確かめたくて。
「…、」
ゆるり、覗き込んだそれに、呼吸の仕方を忘れた。