AEVE ENDING







「こ わ、 い」



前が見えない。

一方的に染色されていく醜い体は、また独りぼっちだ。


「…や、だ、いやだ…!」

私が悲鳴を上げれば上げるほど、雲雀の表情が見えなくなっていく。

これが本当に雲雀なのかどうかすら、もう、わからない。

真っ暗だ、世界は、こんなにも。



「いやだ、ぁ…」

駄々を捏ねるこどものように。

暗闇を、独りを恐れる子どものように、むせび泣くしかできない私を、ねぇ、誰か。


「…ひ、」

得体の知れない恐怖が静かに胸に墜ちてくる。

覆い被さる世界の中心は、いつだって美しく、まっさらだったのに。




「―――…」

雲雀が上体を起こす。

泣きじゃくる視界に、シャツを脱ぎ捨てる雲雀と、その雲雀から伸びてくる、強く凶暴な、腕。

それに掴み起こされて、ただもう抗う気力もないまま喘いで、その皮膚に顔を埋めた。


くるしい。

いきが、できない。




「…けて、」

こわい。

こんなの、いやだ。


(だって、ねぇ、雲雀、私ね)

雲雀の指が脚を伝い、役に立たない私の中心へと伸びる。

醜い私の、憐れな私の、最終地点。


だめだ、もう。






『お前はもう、―――にはなれないよ』


悲しみはとうに、終わったはずなんだ。

それなのにこれは、なに。



「ったすけて、…」

傷みは手離したかったのに。

皮膚に馴染む雲雀の体温が、既に痛い。


ずるり。



「…っ、ぅ、あ」

雲雀の指が、空っぽの体に押し入ろうとする。

だめ、だめ。


―――だめだ。




乱暴に、乱暴に下肢をまさぐられて、呼吸すらままならない苦しさに目眩がする。

見ないように、なにも見えないように視界をその手に覆われて、ベッドに押し付けられて。

雲雀のきれいな指が、汚れていく。






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