AEVE ENDING
「なにやら、お二人が影でコソコソしてらっしゃると、真鶸さんにお聞きしました」
各々が給仕された食事を手に着席するや否や、アナセスは穏やかに口を開いた。
真正面に座る倫子はその言葉に目を丸くするも、すぐににやりと笑う。
「秘密だよ」
構えずとも相手を透視できてしまうアナセスの前で誤魔化しは無駄だ、と倫子はあっさりと認めた。
―――「秘密」があると、彼女は笑う。
「なんだよ、なに隠してんだ?」
ロビンがカツカレーを口一杯に頬張りながら身を乗り出した。
その横では食べ方が汚いジニーをニーロが甲斐甲斐しく世話をしている。
「だから秘密だって言ってんじゃん」
倫子は味噌汁をほかほかのご飯にぶっかけて笑った。
(―――あ、)
ロビンははっとする。
最近、彼女の笑顔の種類が変わった気がするのだ。
前は歯茎を剥き出しにした、ある意味下品とも言えるほど明け透けな笑い方をしていたのに。
(…最近は、穏やかな、落ち着いた大人びた顔で)
ぽとりと、波のない水面に小さな灯りが落ちるような笑みを浮かべる。
今までふらふらと漂い、ただ豪快に笑うだけだったそれに、一本の芯が通ったような。
見ていて安心するのに、どこか不安になる―――ふと目を離せば、消えていってしまいそうで。
「…何じろじろ見てるの、いやらしい」
がぶがぶと猫まんまを流し込む倫子を見ていたロビンに、冷ややかな一言が投げつけられた。
見れば、ロビンの正面に座る雲雀がスープを口にしながらちらりと見ている。
「…いっ、やらしくねえよ!見てねーし!」
意味を解して、ロビンは真っ赤になって反論した。
その大声に、珍しい顔ぶれのランチを観察していた周囲の生徒達が一斉に視線を逸らす。
「どうだか。その年になって気になる異性を苛めるしかできないような男のくせに」
「お前に言われたくねーんだよ!」
確かに、雲雀にだけは言われたくない台詞かもしれない。