AEVE ENDING




「なに?」

雲雀は一体、なにを見ているのか。
目を凝らせど、なにかが見えてくる気配はない。

しかし雲雀は、その薄い唇で弧を描いたまま斜め上を見上げて、動かなかった。



「ひば、」
「避けて」

不審に思って声をかければ、そう遮られた。

よけて?

ピシリ、と肢体を操る電子イメージが脳内に湧く。


(―――避けろ!)

雲雀が口にした言葉のイメージ通り、倫子は勢いよく真横に飛んだ。





ドドッ…ン!


バランスを崩して砂浜に顔面を突っ伏した瞬間、聴覚を失ってしまったかのような静寂―――違う、それほどの轟音と、脳味噌が揺さぶられてしまうような、激しい振動。


「っ、!?」

(なんだ、落雷!?落石!?地震!?)

ガクガクと地面が揺れて慌てて頭を抱えたが、激しい振動はすぐに収まってしまった。

「…?」

訝しみながらも顔を上げれば、目の前の砂浜に空いた、巨大な黒いクレーター。



「───え、?」

幅約二メートル四方。
粒の粗い砂浜は円形に深く抉られ、中央の砂はどす黒い煙を上げている。
先程まで完全な平地だった筈の砂浜に、一瞬にして発生したクレーター。
しかも底をプスプスと焦がす、強力な雷のようなエネルギー。

見ればそのクレーターの位置は先程まで自分達が立っていた場所だ。

雲雀が避けろと言わなければ、一体どうなっていたことやら。

想像してゾッと背筋が寒くなる。


―――はっ。




「雲雀!?」

雲雀の姿がない。
クレーターの向こう側にも、クレーターの中にも!?

「まさか蒸発した!?ちょっとざまあみろとか思っちゃったたけどそんなまさか!」

これだけのエネルギーだ。
逃げ遅れた雲雀が丸焼けになってしまってもおかしくはない―――。





「ここだよ」

バシッ。

「ぐぇっ」

雲雀のすゞやかな声と共に、健在する後頭部への痛み。

「…か弱い女の子をポンポン殴るなんていい度胸してんじゃねーかこのクソスズメが!」
「か弱い女の子はこのクレーターを見て僕を勝手に殺したりしないと思うけど」

ひどい言い種だ。
一応、心配してやったのに。




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