AEVE ENDING
(ヤクザかよ…)
先日アミと見た旧文明の遺産、「にんきょう映画」に出てきた柄の悪い仕事人みたいだ。
ていうか。
(今の声、島中に響いちゃったんじゃないの?)
ニ日間、この排他的な島で生き残るには反アダム派の島民達に見つからずに過ごすのが一番だ。
まさか原始人兼ゴリラザルのせいで、初っぱなから転けることになるとは。
(…だけど、)
今のところ倫子達の姿を目撃したのはこの猿顔の男だけだ。
適当に倒して適当に監禁しておけば、ニ日くらいは逃げ仰せるだろうと踏んでいたのに。
(なのに、今の大声で台無しだ)
「…まぁ、最初から見つかってたみたいだけどね」
雲雀の呆れたような言葉に、思わず、「は?」と間抜けな声を上げてしまった。
「だって僕、島に着いてからは気配消してたし。島に着いて島民に悟られるようなヘマはしていない」
飄々と言ってのける雲雀。
しかしながら、しかしながら。
「いや、あんたは良くてもですね、私が、あの、気配消すとか、そんな高等技術、できねーっつうか」
「うん、そうだね、ごめんね。落ちこぼれが一緒だったの忘れてた」
笑顔で毒をまき散らすとは何事だ。
しかし口から出たのは真実なので、反論もまともにできやしない。
「…すみません」
(クソ、また「落ちこぼれ」とか言いやがって。さっき感動して損した)
嬉しかったのに。
不機嫌そうに拗ねた倫子を見て、雲雀がクスリと笑みを漏らす。
「君だけ、じゃないよ」
え。
艶やかな唇がゆっくりと弧を描く。
顔を上げた倫子は、それを直視して思わず見惚れた───。
「コラァァア!無視!?更に無視!?無視の二乗!?ふざけんなやコラァァア!」
ドォ…ン!
「うがっ」
罵声と爆音と同時、雲雀の指が倫子の首に掛かる。
そこを支柱にブンッと勢い良くぶっ飛ばされたかと思えば、掴まれたまま立ち位置を変更された。
「なにか」を回避した倫子の視界に映ったのは、先程見たそれと同じ、煤けたクレーター。
「うげぇぇっ!?なにコレ!」
「なんだろうね」
できたばかりのクレーター周辺には、静電気らしきものがパチパチと音を立てている。
それは光の線として視認できるほどで、その電力の強力さをまざまざと見せつけた。