AEVE ENDING
「物質的な攻撃じゃない。こんな効果の武器は、見たことがないし」
二個のクレーターを見比べながら、雲雀が冷静に分析している。
「つまり?」
未だ首根っこを捕まれたまま倫子は雲雀を見上げたが、雲雀は得体の知れない男に視線を置いたまま。
その双眸は、まるで玩具を見つけた子供のようにキラキラしている。
(準備は万全、ってわけ?)
チクショー、ちょっと頼もしいじゃん。
「一種のサイコキネシスだよ」
まるでお楽しみが出来たと言わんばかりの雲雀が、軽やかな声で言い放った。
(あぁ、サイコキネシス…)
サイコキネシス…。
サイコキネシ、ス……。
―――まさか!
「だって、アイツ、…人間でしょ?」
なにせここは、「北の島」だ。
反アダム派の人間達が党を連なり、産まれてきたアダムの赤ん坊をも殺すような島で。
(アダムが存在する…?)
訝しげに男を見れば、高い崖上から浜に降り立つところだった。
「───島民が全員人間だとは、誰も言っていない」
雲雀は静かにそう言い捨てると、制服上着を脱ぎ捨てた。
(…殺る気だ)
ス、と音を立てて辺りの空気が冷えた気がした。
辺りを包む酸素という酸素、足下の砂。
血に飢えた獣のように、嗤う。
「…雲雀、」
慈悲を知らぬ冷酷な神を見たようで、恐ろしくなった。
気付いたら呼び掛けていた自分が情けない。
「…、ひばり」
返事は、なかった。
見れば、男もやる気満々で日本刀に手を掛けている。
(オイオイオイ…、)
こんな場所に居れば、倫子が巻き添えを喰らうのは必須。ヤバい。
「ひば、」
大体、こんなおおっぴらな場所でやり合えばまだなにも知らぬ島民達にも居場所がバレてしまう。
雲雀はともかく、朝比奈達の危険も増すことになるのだ。
雲雀の言う通り、倫子達アダムがこの島に足を踏み入れたことが島民にバレているとして───。