AEVE ENDING
ギャアギャア騒ぎ出した二人を見て、真醍に肩車されていた子供のひとりが叫んだ。
「オネーチャーンが!イチャイチャしてるぅ!」
イチャイチャ?
なにそれ食べれるの?
叫ばれた倫子と雲雀に、一同、純粋な目をした子供達と猿の視線が集まった。
「…ちょっと待てコラ!お前の目は節穴かぁ!」
頭を鷲掴みされながら叫ぶ倫子。
雲雀、大変不愉快である。
「オネーチャン!イーチャーイーチャー!」
しかし子供というものは、反応されれば騒ぎたくなるのが性(さが)。
猿も混じっての大合唱が始まったわけである。
「やーらしーいのー!あのネーチャンてばやだやだ、こんなガキ共の前でイチャイチャしちゃって、ヘンタイヨー!」
合唱を続けるこども達のなかで図体のでかい馬鹿がしなを作ってからかっている。
「猿うぅぅ!テメッ殴るぞサル!」
「うるせー!殴れるもんなら殴ってみろや!」
子供達と一緒になって、アッカンベーをしている真醍。
雲雀は更に不愉快度が増し、倫子に至っては限界である。
「このクソ猿がぁぁ!…て、ちょ、雲雀さん!?爪がさっきより二ミリくらい深く喰い込んでる!八つ当たり!?これ八つ当たりじゃねーの!?いてーよ!」
ギリギリと喰い込む爪が痛い。
既に雲雀も雨にしとどに濡れていて、妙な色気を醸し出していた。…片手に女一人をぶらさげた状態ではあるが。
「───橘」
「…っなんだよ!」
「あの猿を殺してきなよ」
「なにそのフルバイオレンスな命令!」
物騒な会話を聞かなければ、やはりバカップルのイチャつきにしか見えない。
つまり、それを見逃す筈のない人間が一人いた。
「雲雀様!」
来た、とばかりに勝手に顔が歪む。
背後から響いた鈴が鳴るような声にも、雲雀は不細工な顔をした倫子をぶらさげたまま手を離さない。
「…あぁ、丁度良かった。船が着き次第すぐ西部箱舟に帰還するから、そのつもりで」
現れた朝比奈と武藤に、手間が省けたと言いたげに事務的に語る。