AEVE ENDING



―――海洋美化。
美しい紺碧の海など写真でしか見ることができない。
今の海は、とにかく茶色く濁っていて、汚い。
悪臭がする上に、塵芥が浮かぶ海面、ヘドロが沈む海底、底に沈んだ旧文明の物資、建築物、積もり積もった有害な粉塵、汚染された土。
それら諸々が海洋汚染の原因になっているらしい。

そんな惑星汚染を前にして、私達アダムには国から具体的に定められた義務が課せられている。

「荒廃し続ける環境の劣化を食い止め、サイコキシネスを駆使して地球環境の改善に勤めること」、である。

「箱舟」ではそういった環境改善に基づく能力の使用を学ぶのだ。
そのなかに最重要項目として海洋美化も含まれる。
そういう要因もあり、アダムは国家においては重要視される。

全てのアダムは「箱舟連盟」と呼よばれる実質の自然保護団体に所属することが定められていて、給料は一般市民の三.五倍。住居は国から提供され、生活や仕事に困ることはまずない。

まさに、神に選ばれた者のみが就ける最高の職業なのである。


「さぁ皆さん、東部箱舟の方々がお待ちです。粗相のないように」

毎回行われる合同授業では、恒例といっていいほどの小競り合いが起きる。

当然、西部と東部の間でだ。
同じ十代とはいえ、トータル的には西部と東部の能力には赤ん坊と大人程の差があるのだから、どちらに利があるかなど愚問。

潜在能力、サイコキシネスの応用、センス。
多面で自らより勝る東部をやっかむアダムがいないわけがなく、それがサイコキシネスを使った小競り合いに繋がる。

そして喧嘩をふっかけたところで勝てるわけもなく、怪我人が 出るのは西部側のみ。
なにせ教師が止めに入る前に決着が着いてしまうものだから。

そんな状態なのだから、合同授業などしなきゃいいのに。

(ま、合同授業ならアミと一緒に居られてラッキーなんだけど)

教室を出ていくミスレイダーを目で追いながら、追々に席を立つ生徒達同様、私もクラスを後にする。
いつもよりざわめきが大きい回廊は、興奮している生徒達でごった返していた。

「ヒバリ様のお顔を拝見できるなんていつ以来かしら」
「東部会長に就任されてからは、ご多忙の身でなかなかお姿を現さなかったものね」

とは、女生徒の声。

おぅ、おぅ、お盛んなことだ。



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