AEVE ENDING
(ヤバいかな…)
しかし、ここで下手に引くわけにはいかない。
雲雀を奪られてみろ。
世界は本当に終わってしまう。
魔王誕生イコール世界崩壊。
(…あいつは、喜々として人類を絶望に貶める立派な魔王になるだろうよ)
考えて、頭が痛くなった。
もし雲雀が魔王になれば、真っ先に殺されるのは───。
考えて、ズキリと痛むのは今朝がた殴られたばかりの頬。
(殺られる…!)
なんとしても食い止めなくては。
酷くなるばかりの頭痛に奥歯を噛みしめながら、目の前のふたりに視線を据える。
相手の能力、出方もわからないのだから、慎重にいくしかない。
「───…雲雀に、会いに来たの?」
そう静かに口を開くと、ピィンピィンと脳内で響く音が尚一層、強くなった。
「ピアノ」、だったか。
名前のわりに、えげつない力を使う。
倫子の言葉に、リィ、ロゥと呼び合うふたりが顔を見合わせる。
まるで純粋無垢なこどもが、「初めて聞く名」に反応するように。
「ひばり…、神様の名前だわ」
「そうだね、リィ。どうする?」
「そうね、ロゥ。何事も情報収集が大事よね」
ならこんな無計画に乗り込んでくるな、馬鹿。とは、口には出せない。
得体の知れないアダム相手に無謀な真似など、このふたり以上に馬鹿げている。
「さぁて、君。神様と知り合いかい?」
ロゥ、と呼ばれた男がこちらを見た。
よく見れば、ふたりとも黒と翠のオッドアイだ。
じ、とふたり分の原色の片目に、くらりと目眩がした。
脳内を駆け巡っている「ピアノ」も、ロゥと視線を合わせたことでより一層強くなる。
(…このロゥって男が施術者か)
ピィ―――ンン…。
(う、わ。頭が痛い。眼球にクる)
しかし、こんなところで負けてはいられない。
頑張れ、倫子。
お前の為だ。
だって、私の命が掛かっている。