AEVE ENDING





「……知り合いもなにも、ひとつのベッドで寝た仲ですけど?」

勝負である。
気合いを入れて極力冷ややかに言い捨ててみれば、リィとロゥのその鮮やかなオッドアイがパチリと瞬いた。

「…潔癖症のごあるらしい神様と寝た女?」
「創始者の話とちょっと違わない?」

創始者?
ボスのことか?
ふたりの囁きに、倫子は眉間に皺を寄せた。

───今この場で、少しでも情報を得られれば。


「じゃあ、あんたはなに?神様の愛妾ということ?」

リィがかちり、と爪を噛む。

……あいしょう?
やべ。知らない単語でてきた。

内心で焦りながらも、倫子はそれをおくびにも出さない。

「そんなこと、今は関係ない。あんた達の目的はなに?雲雀に会って、どうするつもり?」

吸い込まれるような黒と翠を睨み付けながら、倫子は声を低くした。

「それこそどうでもいいじゃない。…ねぇ、君は神様のなんなの?」

白い衣が翻る。
なにやら雰囲気が変わったロゥが、小さく一歩、倫子に歩み寄った。

「……っ」

完全にイってしまった眼だ。
思わず後退りそうになるが、必死にそれを堪える。


「…ロゥ」
「なぁに、リィ」

倫子に歩み寄りながら、ロゥがニンマリと唇を歪めた。
ロゥの後ろで、同じ顔をした姉とやらは首を傾げている。

「やっぱり変だ。神様の力を探るのに、反応するのはこの女だわ。この西部箱舟に、神様の気配はこいつ以外ない」

リィの訝しがるような声に、ロゥは考えるように首を傾げて見せた。

「…そうなの?」
「不思議」
「不思議だね」

同じ顔をしたふたりの視線が、倫子を容赦なく射抜く。
それは倫子の外装を突き抜けて、脳天に衝撃を与えた。


「…、」

(…あぁ、そうか)

雲雀の気配を辿ってきた筈のふたりが、「橘倫子」に行き着いたのは。

(―――力でも地位でも、あいつには及ばないくせに)

それなのに、一番大切な一本の線が、同じなのだ。

(あの苦痛が、それを可能にした…)

そんなもの、要らなかったのに。





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