AEVE ENDING
浜に着く自分の足裏を擽られるような、妙な感覚。
倫子の小さな背中から、均整の取れていないバランスの悪い力が放出されている。
それは不規則に空気を伝い、しかしやがて、その流れは倫子の腕の先一点に集中し始めた。
(…まさか)
その違和感に、雲雀は思わず足元を見遣る。
肉眼ではなんの変化もない砂浜に、しかしアダムとして視えたのは───。
ドパン…ッ。
圧縮されていた空気の栓が外れたように、それは地中から飛び出した。
「きゃあっ」
「わぁ!」
子供達が「それ」がなにかを理解して、一斉に歓声を上げる。
地中から吹き出した、見たこともないほどきれいな鉄砲水。
ドドド、と地鳴りが響いていた。
水が地中へ流れ出す音が、まるで地球を震わせているようだ。
水の勢いは、止まらない。
高く聳える壁をゆうに越えて吹き出している水柱のなかから、倫子が飛び出してきた。
全身、濡れそぼり、あちこちに泥を引っ付けて。
「あたりぃ!」
飛び出した途端、駆け寄ってきた子供達に向けて明け透けに笑った。
「すごぉいおねえちゃん!きれいなおみず!」
「きれいきれいー!」
「きゃーっちめたいっ!」
濡れることも構わず―――上から濯ぐ水で既に濡れきっているのだが―――子供達は倫子に抱きつく。
まるで間欠泉のような噴水は、まだまだ勢いを増しているようだった。
「このおみず、のんでもいいの?」
幼い子供が膝を着く倫子に遠慮がちに尋ねた。
それに嬉しそうに微笑んで、倫子はその小さな身体を抱き締める。
「そうだよ!美味しいぞー!」
その言葉に、雲雀は溜め息を吐いた。
随分な無茶をした──―と呆れる。
彼女がなにをしたか。
(地中深くに走る水脈を探し当てて、地中に強引に道を作って地上へ導き引き上げたんだ)
安全な飲み水確保のため。
土地を生き返らせるため。
無茶をするにも程がある。
水脈を引き上げるなど誰も考えつかないようなことを。
(───馬鹿以外は)
自然の摂理を曲げたのだ。
体力も能力も相当つかうし、透視に長けているか、勘が鋭くないかしなければ。