AEVE ENDING





「風邪引くよ」
「うぇへへへ」

こちらの溜め息なぞなんのその。
倫子は子供達と一緒になって吹き上げる噴水を満足げに見ている。

間欠泉───訂正、間隔もなしに吹き上げ続ける水は際限なくきらきらと煌めいていた。

これだけ巨大な噴水が湧き上がれば、幾ら離れた距離とはいえ目に入らないわけがない。
アダムや貧困エリアの住民達がぞろぞろと集まってきていた。

まるで甘い蜜に群がる蟻のように。

しかし倫子はそれに気付く様子もなく、子供達と一緒になってそれを見上げていた。

相変わらず真下に居るから、落ちてくる飛沫を全身で受け止めている状態なのだが、やはりそれを気にした風もない。

溜め息。


「…橘。君が動かなきゃ、その小さいのも動かない。風邪を引かせたいの?」

そう言えば、倫子はやっと顔を上げて立ち上がった。

「…っ、」

一瞬ぐらつく。
しかしすぐに持ち直して、子供達の手を取った。

「嬉しさのあまり考えてなかった!雲雀、この子達、乾かして!」

こども達を引き連れて、雲雀の前に立つ。
雲雀の異質な雰囲気に、敏感な子供達は倫子の背中にそっと隠れた。

「小さな生き物」を一瞥して、雲雀は倫子へと視線を移す。


「僕に尻拭いさせる気?」

言えば、不機嫌そうに唇を尖らせる。

「…いいじゃん、そんくらい。別に私を乾かせっつってるわけじゃなしに」

あぁ、そうだね。
今回は、その言い分はありかもしれない。

「…まぁ、頑張ったみたいだし」

雲雀がそう言えば、倫子はぐっしょりと濡れた顔でにいと笑った。

その笑顔の意味を無視して、雲雀は腰を折る。
覗き込めば、子供達は慌てたように倫子の背後に隠れた。




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