AEVE ENDING
「…ほら、こっちにきて」
隙間からこちらをじ、と窺っている。
(子供って、警戒心が強い…)
まさか自分の端正な顔に対して彼らが幼いなりに遠慮しているとは思いもしない雲雀は、次に子供が発した言葉に目を丸くした。
「…おねーちゃん、おねーちゃんのおともだち?」
勘違いされている。
「……お友達でもないし、お姉ちゃんでもない」
笑みも浮かべず無表情に返した雲雀に、子供達は更に萎縮した。
「ほらぁ、お兄ちゃんを困らせないの。濡れちゃったの乾かしてくれるから、みんな整列して」
倫子のフォローに背中を押された子供達は、はにかみながら雲雀の前に立った。
もじもじと布切れのような服を掴み、大きな目が上目遣いで雲雀を見やる。
「じっとしててね」
その小さな頭に、なるべくそっと掌を置く。
(…体内の水分まで蒸発させないようにしなきゃ)
そら恐ろしいことを考えながら、雲雀は指先にいつもの倍、繊細な能力を集中させた。
ジュ…と音がして、雲雀が触れていた子供から暖かな湯気が上がる。
濡れていた筈の服も髪も、完璧に乾いていた。
「わあ、ぽかぽかする!」
乾かしてもらった子供は、不思議そうに自分の手のひらを見つめて感嘆の声を上げた。
不思議がるこどもを横目に、残りの濡れネズミも同様に乾かしてやる。
「あったかぁい」
はしゃぐ子供達。
満足げな倫子と、無表情な雲雀。
見れば、大勢の人間達がこちらを囲むように集まってきていた。
「きれいな水だ…」
「こんなに大量に…、凄い」
「地下水か?何故こんな所から…」
ちらほらと、群衆のなかから感嘆の声が上がっている。
雲雀はそちらを一瞥して、倫子を見た。