AEVE ENDING
「おい…?」
あからさまに態度がおかしい雲雀の背中を、倫子は思わず呼び止めた。
しかし雲雀はろくな反応も示さないまま、その華奢な背中を見せている。
(…まさか私が意識おとしてた間に、全部聞いちゃったんじゃ…)
倫子が隠す秘密も事実もすべて、第三者の口から聞き出したのではないか?
―――ズキリ。
「…、雲雀…?」
その哀愁漂う背中といい、普段なら繰り出される筈の暴力がないといい、明らかに様子がいつもと違う。
(あぁ、まさか、嘘でしょ…)
知られては彼のパートナーでいるわけにはいかない。
いや、はじめから雲雀のパートナーなんて望んでいなかった筈だ。
───全て知り得た上で、ならば雲雀はどう出る?
(……紛い物は要らない、なんて言われて、殺されちゃったりして…)
考えて悔しくなった。
死ぬことが怖くて、じゃない。
全て知った雲雀は、それでも平静を保ったままなのだろう。
ほんの少しの時間、パートナーとして過ごしただけの倫子に情が沸いている筈もなく、きっと躊躇なく殺そうとする。
(だって、)
冷淡な微笑を浮かべ、弱る倫子を愉しむのだ。
「…、」
最悪だ。
それは。
「……ひば、…」
だって、痛いことばかりではなかった。
憎むべき相手として見てきた雲雀の、それこそ拍子抜けするような顔だって見てきた。
(…って、ちょっと橘サン、あんたなに考えて…………………………………………………………………………………………いや、だって、私、は……………………………………っ、)
───暗転。