AEVE ENDING
どうしたって世界は神様を中心に廻り、私は何故か空気に浮く塵芥のように見向きもされずに散ってゆく。
あぁ、どうか、私の罪を。
―――目が覚めたら、真っ白な天井が見えた。
点いていない蛍光灯がゆっくりと倫子から遠のいていく。
腕が痛い。
「起きたの」
天井と睨み合いつつ現状を理解しようと努力する最中、真横から聞き慣れた声が話しかけてきた。
動かしづらい首をそちらに向ければ、パイプ椅子に腰掛けた雲雀の姿。
こちらが起きるまでは少なくとも頁を捲っていた筈の洋書から目を外してこちらを見ている。
ひばり。
頭の中で呟くが、声にはならなかった。なにこれ。
喉と舌の表面が、今にもミイラ化してしまいそうなほど干からびている。
「はい、水」
それを見計らったかのように、雲雀が水の入ったグラスを差し出してきた。
え、罠?
咄嗟にそう考える。
失礼極まりないが、雲雀の彼女への諸行を考えれば致し方ない。
「罠じゃないよ」
倫子の思考を読み取って、雲雀はグラスをゆらゆらと揺らす。
(…なんか優しいよ。どうした、風邪?)
「君、ほんと僕のことなんだと思ってるの」
(あ、ちょ、鼻にグラス乗せんのやめて!痛!ちょ、つめたっ!)
ガラス質で思いきり鼻を潰されて抵抗すれば、雲雀はすぐにグラスを持ち上げた。
なんだかやっぱり、優しい気がする。
いいなぁ、こういうの。
パートナーって感じ。
(……って、相手は雲雀だっつの。いい加減、絆されるのやめろよ、ばか倫子)
腕がジクジクと痛む。
血管のように枝走る傷が満遍なく熱を持って、半身を苛んでいる。
この耐え難い傷を負ったのは何故か、誰のせいか考えてみればいい。
(…やめろ、)
「ほら、もう目は覚めたでしょ。起きて」
言われて、右腕を庇いながら上体を起こせば、すかさずグラスを差し出される。
それを素直に受け取り、冷えた清涼水を飲み干した。
身体中に潤いが戻り、停止していた細胞が活性化する。