AEVE ENDING
「少し黙ってろ」
いつの間にか拘束していた手首がひくつく。
(怯えているのか、俺に)
力を込めれば折れそうなその細腕で、あの修羅とどう渡り合うというのか。
「や、め、やめなさい…!」
「なんで」
「武藤…!」
下から武藤を睨めつける双眸は不安げと虚勢に揺れに揺れて、男の目には酷く扇状的に映るだけ。
―――馬鹿な女。
「雲雀に操でも立ててんのかよ?伝わりもしないくせに、───…っ、」
叩かれた頬が、熱い。
それすら、ただのきっかけになりかねない自分に呆れた。
「…捻り潰してやる」
低く呟けば、強気だった眼がとうとう揺れ切った。
きっちりと拘束した腕を床に押し付けて嗤って見せれば、組み敷いた体が震える。
もっともっと、脅えてみせろよ。
忘れろ、少しの間でも。
「…、や、」
泣き出した顔に噛みついて、柔らかな耳朶を啜って、まっさらな体を蹂躙して抱き殺して、…全部全部、オシマイだ。
いくら朝比奈が泣き喚いても、武藤のなかで沸き上がった凶悪な衝動は止まりそうになかった。
「…っ、」
痛みと慣れない感覚にひくつく体を強引に押し開いて、染め上げて。
(あぁ、こんな簡単に、染めることができる、のに)
なにものにもならない存在が、憎らしくいとおしい。
高い悲鳴を飲み込んで、互いに傷付き合って、やがて、ふたりで力尽きた。