AEVE ENDING
「雛、──―朝比奈…」
可哀想なくらい震えて震えて涙を流す朝比奈の姿は、普段の気高い彼女とは似ても似つかない。
(いつも強がる裏で、本当はか弱いこいつを、俺は知っていたはずなのに)
強かで素直で真っ直ぐでひたむきな彼女を、ずっと見てきたのに。
「朝比奈…」
あぁ、それなのに、無理矢理に抱き潰して血を流させて傷付けて泣かせて、蹂躙するなんて。
なにも伝えないまま、無言のまま、力任せに。
「…わるい」
好きだったんだ。
そうだ、ずっと昔から。
お前とパートナーになる前から、ずっと、ずっと前から。
「好きだった、…昔も、今も」
だから、雲雀なんか見るなよ。
傷付くだけの思慕なんてお前には要らない。
「わりぃ、ひな…」
こんなつまらない言葉で泣きやむわけもない、けれど。
慰めにもならないけれど。
取り戻せないのだろうか。
詰めた筈の距離は、もう。
「…朝比奈?」
窺うように呼び掛ければ、朝比奈は水分をたっぷり含んだ目で武藤を見上げてきた。
(あぁ、うまそう、こいつの泣き顔)
見下ろした朝比奈は、けれど武藤の顔を見るや否や、再びしゃくりをあげだした。
震える肩が腕に擦れて、熱い。
「…っ、知っていましたわ。だって、貴方は」
肩と同様、震えてうまく言葉が紡げないらしい。
それでも、吐き出された言葉に驚いた。
「知ってた…?」
まさか。
雲雀に盲目の、残酷なまでに鈍感な彼女が?