AEVE ENDING






「貴方の抱き方が、…っバカみたいに、優しくて、だから…っ」


―――ばか。


「…初めて男に抱かれたくせに、なに言ってやがんだよ」

気が抜けた。

なにも解決してないというのに、伝わったことに、ただ。



「ひゃ、」

単純に嬉しくて、武藤は泣きじゃくる朝比奈を抱き締めた。
腕に収まる柔らかで暖かな体は、この固い肌にゆっくりと馴染んでいく。




「───痛かった、です」

そのまま数分、ぐすりと鼻を鳴らした朝比奈を、更に強く抱きしめた。

どうしようもない衝動に駆られて、傷付けて泣かせて、揺るがして。

それを盾に、馬鹿をしでかした。



「喉が乾きました」

しっとりと汗ばんだ綺麗な身体が、ゆっくりと落ち着いてゆく。

「…紅茶が飲みたいですわ」
「煎れろってか?」

腕のなかの朝比奈が赤ん坊のようにむずがる。

ああ、それだけで。


(…ヤベーくらい、幸せなんだけど)


なにも解決はしていない。
雨降って地固まるなど男の都合のいい言い訳だ。

このまっさらな身体を力づくで奪った代償は、払っても払っても払いきれるものではない。




(あぁ、だけど)


始まったのも、確かだ。








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