AEVE ENDING
「…こりゃ、参ったね。修羅様はなんでもご存知でらっしゃる」
奥田が緩く肩を竦めて見せた。
まさか、いくら雲雀とはいえ、情報が流れているとは思わなかったらしい。
―――けれど今は、そんなことどうだっていい。
「…アダムだよ」
続きを補足した奥田は、ゆっくりと足を組み替えた。
その言葉の不吉さに、じわりと冷や汗が滲む。
「探りを入れたら、犯人を目撃した人間が数人。東北で起きた七件中、四件で背格好が同じ男女が目撃されてる」
奥田の言葉に、更に深い戦慄が走った。
あの馬鹿双子──リィとロゥ。
倫子達と同い年くらいの、若いオッドアイ。
「倫子と雲雀くんは、彼らと接触してたよね?どう思う?」
奥田が腕を組む。
黒節の眼鏡の奥から覗く眼はあからさまに探りを入れていた。
「…さぁね。僕は彼らに絶対的な心棒にされてるだけで、よくは知らない」
雲雀は淡々と言い繋ぎ、倫子を見た。
(そうか、本性は私が知ってる)
「…やりかねない、とは思う。お互いに依存はしていても、その他に対しては塵屑くらいにしか思ってないところが、あった」
雲雀のことすら、傀儡にすればいいとのたまったくらいだ。
他のアダムはおろか、人間なんか塵とも思っていないかもしれない。
「なにを目的にしてるか知らねぇが、まぁ、アダム帝国建設の足掛かりってとこかな」
疲れ気味に真醍がそう吐き捨てた。
いやな響きだ。
馬鹿馬鹿しい幻想を、現実にしようとする人間がいる。
無数の血肉を、礎にして。
(…なにが、アダム帝国だ)
そんなものを造り上げて、なにが残るというのか。